記憶2
私は空間に漂っていた。
私はとても疲れていて、
ゆっくりと休みたいと思っている。
が、誰かが、「もう行かなければ」と促した。
私は、まだ行きたくないと思い、漂っていた。
しばらくして、
それがどれくらいの時間だったかはわからないが、
また、「まだ行っていないのか。早く行きなさい」と、促された。
気がつけば、私は暗い空間に体を丸めていた。
また、促される。
私はまだ行きたくないと思う。
「もう、行かなければ!」と、誰かが私の背を無理やり押した。
暗闇の向こうに丸い明るい光があり、
私はごろごろと転がり落ちた。
次の瞬間、と、私は感じたのだが、
気がつけば私は仰向けに寝かされていて、足元に現在の両親が立っていた。
それまでの私の体ならぶつかっていておかしくない、近い位置に立っているので、
私は足を伸ばし、何度かけってみようとするが、届かない。
父が「よく足を動かすな」と言い、
母が何か答えている。
そして、母が私の額やまぶたを柔らかくなでながら、
「もう一度寝なさい」と言う。
私は「ああ、そうか」と、心の中で思いながら眠りに落ちた。
それが、私が魂だったときの記憶と、
出生のときの記憶である。
ブログに添えた文章
私は出産予定日より10日ほど遅れて仮死状態で生まれたそうです。
陣痛が始まってから3日かかったそうです。